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2019.06.03 Monday

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    【ディスク 感想】ショスタコーヴィチ/交響曲第1〜3番 〜 マーク・ウィッグルスワース指揮オランダ放送フィル

    2012.05.14 Monday

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      ・ショスタコーヴィチ/交響曲第1〜3番
       マーク・ウィッグルスワース指揮オランダ放送フィル(BIS)
       →詳細はコチラ(HMV/Tower)





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      【ディスク 感想】"Arcadia Lost" ヴォーン=ウィリアムズ、ブリテン作品集 〜 マーク・ウィッグルスワース指揮シドニー響ほか

      2012.01.18 Wednesday

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         ・"Arcadia Lost" ヴォーン=ウィリアムズ、ブリテン作品集
         マーク・ウィッグルスワース指揮シドニー響ほか(Melba)
         →詳細はコチラ(HMV/Tower/Amazon)


         

        【ディスク 感想】マーラー/交響曲第10番(クック版) 〜 マーク・ウィッグルスワース指揮メルボルン響

        2011.07.28 Thursday

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          ・マーラー/交響曲第10番(クック版)
           マーク・ウィッグルスワース指揮メルボルン響(MSO Live)
           →詳細はコチラ(HMV/amazon)




          ブリテン/歌劇「ピーター・グライムズ」 〜 マーク・ウィッグルスワース指揮LPO(2000 グラインドボーンLive)

          2010.12.26 Sunday

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            ブリテン/歌劇「ピーター・グライムズ」
             マーク・ウィッグルスワース指揮LPO(Glyndebourne)
             →詳細はコチラ(HMV/Tower)




            マーク・ウィッグルスワース指揮東京交響楽団演奏会(2010.6.20川崎)

            2010.06.20 Sunday

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              ・ワーグナー/楽劇「パルジファル」前奏曲
              ・プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲第2番
              ・ブラームス/交響曲第2番
               庄司紗矢香(Vn)
               マーク・ウィッグルスワース指揮東京交響楽団
               (2010.6.20ミューザ川崎シンフォニーホール)

              ショスタコーヴィチ/交響曲第11番「1905年」〜マーク・ウィッグルスワース指揮オランダ放送フィル

              2010.03.08 Monday

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                ・ショスタコーヴィチ/交響曲第11番「1905年」
                 マーク・ウィッグルスワース指揮オランダ放送フィル(BIS)
                 →詳細はコチラ(HMV/Tower/Amazon)




                ショスタコーヴィチ/交響曲第4番 マーク・ウィッグルスワース指揮オランダ放送フィル

                2009.06.19 Friday

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                  ・ショスタコーヴィチ/交響曲第4番
                   マーク・ウィッグルスワース指揮オランダ放送フィル(BIS)
                   →詳細はコチラ(HMV)

                  マーラー/交響曲第6番 ウィッグルスワース/メルボルン響

                  2008.11.09 Sunday

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                    ・マーラー/交響曲第6番イ短調「悲劇的」
                     マーク・ウィッグルスワース指揮メルボルン響 (MSO Live)



                     私が贔屓にしているイギリス人指揮者マーク・ウィッグルスワースについては、先日テレビ放映された「グレの歌」の演奏について感想を書きましたが、そこでの演奏がとても気に入ったので、未入手だったマーラーの6番のディスクを購入しました。いつも拝読しているブログ「ユビュ王の食卓」さんでずっと以前に紹介されていたディスクで、メルボルン響の自主制作盤、2006年7月のハンマーホール(!)でのライヴ録音です。オーストラリアのBuywellから購入しました。

                     どうして私がウィッグルスワースの指揮する演奏が好きなのかというと、重心の低い重量感のある響きと、細部のデフォルメの面白さ、そして、決して節度は失わないけれど熱っぽいカンタービレが特徴的で、そのブレンド具合が非常にユニークだからです。そして、このメルボルンとのマーラーでも、その特徴は十分に生かされていました。

                     第1楽章の冒頭の行進曲は、力まずに柔らかいアタックと仄暗く重厚な響きで演奏されていて、もう最初から悲劇に呑み込まれて敗れ去った人の音楽を聴いているようでユニークです。そこから一見淡々とドラマが進んでいくのですが、楽器間のダイナミクスの絶妙のバランス調整によって、マーラーの書き込んだグロテスクな音型を強調したり、楽譜に書かれたアーティキュレーションを際立たせて新鮮な歌を導き出したりしていて、決して耳をそらせることがありません。低弦の響きが非常に充実していることもあって、クライマックスでの腹にこたえるような音のパワーには鳥肌が立つ思いです。

                     続く第2楽章のスケルツォ(旧版の楽章配列での演奏です)は、頻繁な楽想の変化をニュアンス豊かに非常に面白く聴かせてくれてくれます。私は、マーラーの交響曲のスケルツォ楽章を退屈させずに聴かせてくれる指揮者こそ、真の「マーラー指揮者」だと思っていますが、ウィッグレスワースにはその資格十分にありと思いました。その昔、BBCウェールズ響とのクック版の10番を聴いて感動したのは、あながち間違いではなかったなと嬉しくなりました。

                     そして、第3楽章アンダンテでの、柔らかくてあたたかい弦のカンタービレの美しさには独特の味わいがあります。随所で聴かれる指定どおりのグリッサンドも非常に効果的で、とてもコクのある歌になっていて胸を打ちます。指揮者がイギリス人だからというわけではないですが、例えば、ディーリアスの「楽園への道」の切ない哀しさに通じるものを感じました。特に、カウベルが激しく鳴らされるクライマックスの後の弦の甘い旋律を聴いていて、涙してしまいました。
                     
                     多くの指揮者がそうであるように、ウィッグルスワースはフィナーレに表現の重点を置き、大きなクライマックスを築いています。テンポを若干早めにとり響きに鋭さを加えながら、強烈なハンマーの強打(2回)を経てどんどんテンポを早めてカタストロフへと一直線に突き進むあたり、決して扇情的ではないけれど、腹の底からじわじわと興奮が盛り上がってくるようなドラマの築き方は彼の面目躍如というところです。しかし、最後のあの沈み込むような沈痛な結末に至るまで、あたたかく血の通った響きが失われていないところがユニークです。

                     そんな演奏ですので、全体を通して聴いてみて、激闘の末倒れて沈み込む英雄の姿を見るというより、一人の人間があらかじめ予見された不可避の悲劇を受容していく過程を見るような感覚を覚えました。と同時に、そのあたたかな響きからは、決して最後の希望は失わずそれでも生きていくしかないのだというメッセージが込められているようにも感じました。

                     その点で、この演奏は、21世紀を生き、新たな悲劇を経験し続けている我々にとって、より近しく感情移入できる演奏ではないかと思います。多くの人を熱狂させるような刺激や興奮があるわけでも、目新しい新機軸があるわけでもない地味な演奏かもしれませんが、少なくとも私にとっては、非常に印象深く好感の持てるマーラーの演奏でした。そして、久し振りにマーラーを聴いて、とても満足しています。