【Live 感想】ルーファス・ウェインライト 来日公演 (2013.03.19 渋谷公会堂)

2013.03.20 Wednesday

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    ・ルーファス・ウェインライト 来日公演
     (2013.03.19 渋谷公会堂)





      ルーファス・ウェインライトの来日公演を渋谷公会堂で聴いて来ました。

     ステージ構成は至ってシンプル。ピアノとアコギの弾き語り。バックバンドもコーラスもいない。ダンサーもいないし、彼は踊りもしない。ただ楽器を弾き、歌うだけ。ライティングもごくごく簡素なもの。(いつもそうだという訳ではないようですが、今回は前回に引き続きということらしい)

     客席もとてもシンプルな状況。皆、おとなしく椅子に座ってルーファスの歌をしーんと静まり返って耳を澄まして聴いている。勿論、ノリのいい曲では手拍子も出る(ルーファス自身が"手拍子してくれるよね?"と客席に尋ねるような曲もある)、拍手と一緒にかなりの歓声が沸き起こるけれど、大体においてはほとんどクラシックのコンサートみたいな状況になっていた。(前回の来日公演では、アーティスト自身から前半は拍手なしでという要望があったらしい)

     こんなライヴになるのは、ただルーファスの歌に静かで穏やかな曲が多いという理由だけではない。彼の音楽が、こちらが思わず耳を澄まさずにはいられないほどに、内容豊かだからです。

     まずどの曲もファンタスティックです。快活で楽しげな曲も、ミステリアスな雰囲気をたたえたアートな曲も、縦ノリのロックンロール調の曲も、美しいメロディに彩られていて、しかも香り立つようなポエジーがある。ほんのちょっとした転調や曲想の変化にもあっと驚くようなマジックがある。ポピュラー音楽ではほとんど使われないんじゃないかというくらいに複雑で凝ったコード進行が駆使されていて、彼の内面世界がそのまま音になっているかのよう。さしずめ、カレイドスコープを見ているかのような思いにかられるような、とても不思議な美しさをもった景色を作り出す。

     そんな内容の詰まった音楽が、バックバンドもコーラスもいない、非常にモノクロな環境で奏でられるので、私たち聴衆はいきおい彼の弾くピアノやギター、そして声に耳を澄まさずにはいられない。コンサートが進むにつれて、私たち聴衆はルーファスの歌を通して、彼の内面に引き込まれ、彼の内面の「世界」を深く追体験するような思いに駆られていく。ボキャブラリーが豊富で高度なテクニックを駆使しているのに、誰にでもアピールする平明な力強さを持った音楽の前には、「ジャンル」などという言葉は無用の長物。ただただ素晴らしい音楽が私たちの目の前で繰り広げられる。

     心に残る歌ばかりでした。個人的には、"Jericho"、"Going to a town "、Who are you"などの甘さと苦さが共存したような「抒情」を感じさせる曲が死ぬほど好きですが、レナード・コーエンの名曲「ハレルヤ」のカバー(映画「シュレック」で使われた)では、その切実な祈りのこめられた歌にまさに胸をかきむしられる思い。まさに圧巻のパフォーマンスでした。

     また、最新アルバム「アウト・オヴ・ゲーム」のタイトル曲のポップな盛り上がりはかっこよかったし、"California"でのラフなロックンロールもいい。ああ、それにアンコールで歌った"Montauk"でのジャジーな歌も、最後に歌った"Poses"でのちょっともの哀しさを秘めたようなも歌にもしびれました。おっと、これも忘れちゃいけない、名曲"Cigarettes and Chocolate Milk"はまさに待ってましたといったところ。イントロを彼が弾いただけで私も含めて客席も大喜び。

     ルーファスはとにかくかっこいい。かなりしゃべり好きみたいでたくさん話をしてくれましたが、歌っている時も、そうでない時も、とても魅力的な人だなあと思わずにいられないほどにオーラが出まくっていた。私自身は残念ながらノンケなので、彼の歌をそういう視点から味わえないのが残念ですが、こればっかりは素質がないので仕方がありません。2時間近く、もうあっという間に時間が過ぎてしまい、会場総立ち状態で彼に拍手を送って客電がついてお開きになった時、「えー、もっと聴いてたいのに」と思わずにいられなかったほど。

     とにかく、コンポーザーとしても、シンガーとしても、そしてピアノとギターを弾くパフォーマーとしても、天才としか言いようのないルーファス・ウェインライトの詩情あふれる美しい音楽に酔いしれることができて、とても幸せです。また近いうちに日本に来るねとMCで言っていたルーファス、是非ともまた近いうちに来日してほしいです。また聴きに行きます!

     最後に、この人の音楽をツイッターなどで紹介して下さった、音楽ライターの小田島久恵さんには心から感謝します。前回の彼の来日公演での彼女のツイートがなければ、きっと私はルーファスのことを知らずに過ごし、人生の喜びの幾許かを失ってしまったでしょうから。

    蛇足:
     来月4月、ルーファスは、ポール・サイモンのライヴにスペシャル・ゲストとして参加するのだそうです。ポールは私にとって最も大切なSSW。ポールがルーファスをゲストとして招聘するということは、ルーファスの才能を高く評価しているということの表れなのでしょう。何だかちょっと嬉しい。そのうちに彼らのデュエットなどを聴けるのでしょうか。


    ■Cigarettes and Chocolate Milk


    ■Jericho


    ■Going to town


    ■Hallelujah


    ■Out of games



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    2020.03.19 Thursday

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