【ディスク 感想】時の扉 〜 薬師丸ひろ子

2013.12.04 Wednesday

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    ・時の扉 〜 薬師丸ひろ子
     →詳細はコチラ(Tower/HMV)






    <<曲目>>
    01. 冬の星座   
    02. 秋の子   
    03. 星を求めて   
    04. 浜辺の歌   
    05. クリスマスには帰るから   
    06. 心の扉 〜我が母の教えたまいし歌〜   
    07. 椰子の実   
    08. 故郷   
    09. 仰げば尊し   
    10. 黄昏のビギン   
    11. セーラー服と機関銃 〜ノスタルジア・バージョン〜   
    12. 夢で逢えたら   
    13. ユー・レイズ・ミー・アップ〜祈りバージョン〜


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     いつの間にか、このブログのアクセスカウンタが100万を超えました。実際のところは何度かカウンタを変えた関係で正確な数字ではありませんし、そもそもカウント方法にもいろいろあって何をもって正確とするかはよく分からない。また私自身がアクセスした回数もかなりあって除外していないので、「誤表示」「偽装」との謗りを受けてしまうかもしれません。でも、それはともかくとして、開設以来6年半足らず、読んで下さった方々には感謝致します。というか、せっかく来て頂いたのにこんなブログですみませんと謝罪すべきなのかもしれません。

     さて、当ブログは、一応クラシック音楽中心ということでやっていますが、実際のアクセス解析の結果、最もアクセスの多いページというのは実はクラシック音楽について書いたエントリーではありません。一番多いのは映画で、ハネケ監督の「白いリボン」、次いで田畑智子主演の「ふがいない僕は空を見た」。ですから、このブログにたどり着かれた方の多くは「映画ファンの書いているブログ」だと思われているかもしれません。

     そして、最近、一番アクセスが多いエントリーが「薬師丸ひろ子に思う」で12/3現在で3651PV(ページビュー)となっています。朝の連続ドラマ「あまちゃん」で彼女が「潮騒のメモリー」を歌った回を見て感極まってしまって走り書きしたものですが、注目度の高いドラマで、音痴という設定だった鈴鹿ひろ美が歌を歌うかどうかと多くの人がハラハラして成り行きを見守っていたところに、薬師丸ひろ子が素晴らしい歌を聴かせてくれたことでたくさんの人が感動(私のように号泣した人をたくさん知っています)した結果、検索エンジン経由で私のページに来た方がたくさんおられるのでしょう。その後、10月11日に聴いたオーチャードホールでのコンサートの感想も書いて、そちらも結構なアクセス数になっていますから、今は「薬師丸ひろ子ファンの書いているブログ」という印象を持たれているのでしょうか。

     私自身は、その通り、薬師丸ひろ子の熱烈な大ファンですから、そう思ってもらえるのは光栄なことです。Googleで検索しても「薬師丸ひろ子」とか「薬師丸ひろ子35周年コンサート」といった言葉で検索すると、このブログがかなり上位に来るようになっているので、文章のクオリティはともかく脇に置いておいてファンとしてはちょっと鼻が高いところです。

     そんな風に30年近くファンを続けてきた薬師丸ひろ子への思いがまた募ってきたところ、彼女のニューアルバム「時の扉」がリリースされました。今日入荷ということで喜び勇んで購入し、期待に胸を躍らせながら聴き始めました。彼女の映画デビュー35周年記念のリリースということで、最近流行のカバーアルバム。先日のライヴでも歌った「故郷」「冬の星座」「夢で逢えたら」の他、「浜辺の歌」「椰子の実」「秋の子」「仰げば尊し」といった日本の歌、「星を求めて」「クリスマスには帰るから」といった欧米の古いポピュラー、ドヴォルザークの「我が母の教え給いし歌」に薬師丸ひろ子自身が詞をつけた「心の扉」、「黄昏のビギン」、そして彼女の歌手デビュー曲「セーラー服と機関銃」という、良く言えばバラエティに富んだ、悪く言えば一貫性のない選曲。

     ただ、これらは薬師丸自身が今どうしても歌いたい曲を集めたということ。コンサートの時にも、「録音はまだしていなくて、たくさんの曲の中からどれを歌うか決めているところ、絞るのが大変」と言っていたので、きっとまだまだ歌いたい歌は他にももっとあったのを泣く泣く絞って、ここまでに抑えたというのが実情なのでしょう。

     彼女が大好きで歌いたくて仕方がない曲を歌ったというのが、痛いほど伝わってくる歌です。彼女はいつも以上に丁寧に思いを込めて歌っているのですが、これまで以上に一つ一つの言葉がとても明瞭で、言葉そのものがまっすぐ心に届いてくる。クラシックの歌手だと大きなヴィブラートと大仰な歌い口に隠れてしまうし、ポピュラー系の歌手だとここまで言葉をはっきり歌うのは今は流行らないので、こんな風に「言霊」を感じさせてくれる歌を聴けるのはとても貴重という気がします。彼女の発声が良いからなのか、女優さんでナレーションの名手だから言葉に敏感だからなのか、天性の何かがあるからなのかは分かりませんが、とにかく彼女の「言葉」に触れていると、得も言えない幸せを感じることができます。

     例えば、彼女が詞をつけた「心の扉」。最初の「在りし日の温もり」という一言だけで、私の目を大洪水にしてしまうのはいとも簡単なことです。そもそもが偏愛してやまない「我が母の教え給いし歌」なのですから、それはもう。途中でヴィオラの深々した対旋律(Yu Manabe)が聴こえるともうダメ。吉俣良による編曲も実に素晴らしいのです。

     「セーラー服と機関銃」はノスタルジア・バージョンということで、ボサノヴァっぽい落ち着いた雰囲気で艶かしく歌われます。今の彼女が歌う「愛した男たちを思い出に変えて」なんていうフレーズ、グッときます。機関銃をぶっぱなして「か・い・か・ん」と囁いていた美少女が透明な美しさはそのままに、酸いも甘いも知り尽くした成熟した女性へと変貌したさまに接してしばし呆然自失。マンドリンをフィーチャーしたアレンジも素敵で、このテイストのアレンジなら「野蛮人のように」なんかもそのままいけると思います。先日のライヴでの武部聡志さんの原曲のイメージを大切にしたアレンジも良かったですが、私はこれ大好きです。小さなライヴハウスで聴いてみたい。

     「故郷」「椰子の実」「浜辺の歌」「仰げば尊し(歌詞2番以降は初めて聴いたかも)」「冬の星座」「秋の子」というあたりは、彼女のライヴを聴く前、このへんの曲を聴きたいなあと思っていたところですから、もうぴったりとハマりすぎるくらいにハマる曲たち。レトロさを強調したようなポルタメントがほんのちょっと耳につくところはあるのですが、やっぱり言葉の力を大切にした彼女の歌は素晴らしい。ああ日本人で良かった、他の国の人たちには分かんねえだろうな、この良さは、と思ったりもする。いや、実際には十分伝わると思うのですが、細かい機微は伝わらないんじゃないかと。

     「夢で逢えたら」もとてもゴージャスなアレンジでのびやかに歌う彼女の歌が心地良いし、「黄昏のビギン」はちあきなおみのバージョンとは全然違うテイストが新鮮だし、「星を求めて」「クリスマスには帰るから」といったオールドスタイルな洋楽ナンバーは彼女の声と歌にぴったり。ボーナストラックはケルティック・ウーマンと共演した「ユー・レイズ・ミー・アップ」。これもピュアな声を持った彼女が歌うにはもってこい。予定調和的な感はありますが、やっぱりいい。

     全体に、この手のカバーアルバムというのは、本当なら結構きわどい企画だと思います。下手をすると、教科書的になってしまったり、祈りだとか希望だとか善意の押し付けみたいなものになってしまったりして、思いをこめればこめるほど救いようもなく鬱陶しいアルバムになるから。だから、正直聴く前には若干の危惧がありました。違和感でムズムズして聴き通せないのではないかと。でも、彼女の歌にはそうした危険をはねのけるだけの清々しさがあり、また、編曲に過度に情緒的にならないセンスの良さがあり、聴き通せないどころか、今、3回目のループ再生中です。しみじみと彼女の声に包まれることの幸せに浸れる良いアルバムだと思います。

     と、まあファンの贔屓の引き倒しとしかいいようのない感想ですが、でも、長いこと、そう、15年間待った甲斐がありました。コンサートの最後で言っていたように、また近いうち、生の舞台で彼女の歌をまた聴けることを心の底から希望します。それから、やっぱり彼女はスクリーンでこそ見たい。是非、いい映画に出て、私たちファンを魅了してほしいです。

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    2019.12.04 Wednesday

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