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【ディスク 感想】ショスタコーヴィチ/交響曲第14番「死者の歌」 ジェイムズ(S)ヴィノグラードフ(Br) ヴァシリー・ペトレンコ指揮ロイヤル・リヴァプール・フィル

・ショスタコーヴィチ/交響曲第14番「死者の歌」
  ガル・ジェイムズ(S)アレクサンダー・ヴィノグラードフ(Br)
 ヴァシリー・ペトレンコ指揮ロイヤル・リヴァプール・フィル (Naxos)

 →詳細はコチラ(HMV/Tower)


 ナクソスがリリースしてきたヴァシリー・ペトレンコ指揮RLPOのショスタコーヴィチ・チクルスもいよいよ大詰めに近づいてきました。今回発売されたのは交響曲第14番「死者の歌」。ガル・ジェームスのソプラノ、アレクサンダー・ヴィノグラドフのバリトンとの共演、2013年5月にリヴァプールにて録音されたものです。

 これはちょっと困った演奏でした。何が困ったかと言うと、実は私はこの演奏を聴いてとても不満に思ったのですが、不満に思った原因がよく分からないのです。

 演奏に対する不満は、二つあって、「怖くない」ことと、「ちょっと雑に感じる」こと。後者は2日間のセッションと演奏会では練り込みが不足していたのか、あるいは、やはり何といっても超難曲ですから、このクラスのオケだと仕方のないことなのかもしれないのか、そういうことなのかと目を瞑ることはできます。

 前者の不満に困っているのです。「この曲ってこんな曲だっけ?」という感覚、はてなマークが頭上から消えない。

 それは、私がこれまで聴いてきた演奏と違っているからそう思ったことは間違いないのですが、何がどのように違っているのかを端的に説明しようとすると、「怖くない」というところに行きつくのです。

 この曲、私はとても「怖い」曲だと感じています。ロルカ、アポリネール、リルケらのテキストが怖いのと、音楽が、聴き手に異様なほどの緊張をずっと強いるような怖さを持っている。気分が塞いでいる時に聴いたら、自分を自分でどうにかしてしまいそうになるような狂気を孕んだ音楽として捉えているのです。かつての名盤、バルシャイやロストロポーヴィチ以降、誰が指揮しても、まったくテイストの違う演奏であれ、その「怖さ」に身震いするような体験をします。それこそがこの曲の持ち味だと思っているのです。

 ところがこの演奏はどうしてなのでしょうか、「怖さ」を感じさせない。緊張も強いない。怒りを爆発させるような激しさもない。もっとのっぺり、どんよりした諦観のような重さを感じさせる「哀しさ」に支配されている。

 これは単に演奏技術に多くを望めない状況下で録音された覇気のない緩い演奏と捉えるべきか、あるいは、意図的に「怖さ」を除去し、そこにこそ実はこの音楽の知られざる「本質」あると私の考え方を変えるべきなのか。

 そこが分からなくて困っているのです。

 今日はこれ以上、この分からなさを掘り下げる時間はありません。それに、考えてみると、この曲を知ってから20年以上経ちますが、そもそも訳の分からない「怖さ」に震撼して感動したような気になることはあっても、それが一体何なのか、どうしてそんなことが起こるのかなんて考えたこともないし、理解もできていない。この交響曲を「分かった」ことなど実は一度もない。ならば、この演奏をただこれまで聴いてきた演奏と何かが違うというようなモヤモヤしたことを根拠にして、批判するのもとてもおかしな話です。

 だとするならば、また何度もこのディスクを取り出して聴いて、この交響曲にもっと近づく努力をすること、そしてその上でぺトレンコの演奏の「困った」感の正体を明らかにしたいと思います。

 ああ、何と残尿感に満ちた感想でしょうか・・・・。

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  • 2017.06.25 Sunday
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