【気になる演奏家・25】アーシャ・ファチェーエヴァ(Sax)

2016.02.20 Saturday

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    ・アーシャ・ファチェーエヴァ
     →詳細はコチラ(公式HP)






     
    私のFacebookのタイムラインを見たオケ仲間から、私が美女好きだという大変ありがたい評価をもらいました。美しい女性のリンクやコメントにいいね!しまくっているからで、それは音楽家だろうと、タレントだろうと、一般女性だろうと関係ありません。美しい女性は大好きだし、私の好きな女性はみんな美女だと思っていますから。

    ただこう言ってもなかなか信じてもらえないかもしれませんが、こと音楽家に限って言えば、音楽を聴いてさほど心を動かさなければ、たとえ美女でも「好き」という風にはなりません。美しい音楽を聴かせてくれる美女が好きです。

    ええ、ええ、そうです。これまでどれだけのCDをジャケ買いして、「ああ、あかん」と思ったことでしょうか。ブログに感想を書くまでもなく棚の肥やしになるか、中古CD行きになってしまう。それは演奏のレベルが高いかどうかじゃなくて、私が心を動かされるかどうかが問題なので、鑑識眼のある人から見れば、「何でこっちは中古行きで、こっちは残るの?やっぱりビジュアル優先なんじゃないの?」という選択結果にしか目に映らないかもしれませんが、こればっかりは私自身の音楽の好みの領域の話ですからどうにもならない。

    ということで、今日も今日とて、CDのジャケットに魅せられて入手した美女の音盤を聴いたのですが、これがとても気に入ったので、久しぶりに「気になる演奏家」のカテゴリに文章を書いておこうと思います。

    私が聴いたのは、クリミア出身のサックス奏者アーシャ・ファチェーエヴァのデビュー盤。Genuinレーベルから出たもので、2012年ドイツ音楽コンクール優勝者という触れ込みで録音されたもの。

    ・アーシャ・ファチェーエヴァ Saxophone
    →詳細はコチラ(Tower/HMV)



    【曲目】
    (1)フェルナンド・デクリュック(1896-1954):ソナタ嬰ハ長調
    (2)ウィリアム・オルブライト(1944-1998):アルト・サクソフォンとピアノのためのソナタ
    (3)ジャン=ドニ・ミシャ(1971〜):シャムス
    (4)ジャック・イベール(1890-1962):室内小協奏曲

    【演奏】
    アーシャ・ファチェーエヴァ(サクソフォン)
    (1)(2)ヴァレリヤ・ミロシュ(ピアノ)
    (3)(4)ミヒャエル・ヘルムラート(指揮)ブランデンブルク交響楽団


    収められている曲は、フェルナンド・デクリュック(1896-1954)の「ソナタ嬰ハ長調(1943)」、ウィリアム・オルブライト(1944-1998)の「アルト・サクソフォンとピアノのためのソナタ(1984)」、ジャン=ドニ・ミシャ(1971〜)の「シャムス(2010)」、そしてジャック・イベールの「室内小協奏曲(1935)」。前者2作はピアノとの共演で、ピアノはヴァレリヤ・ミロシュ、そして後者2作はヘルムラート指揮ブランデンブルグ響。このヘルムラートは私の愛聴盤であるテルテリアンの交響曲第3番のCD(Arte Nova)で指揮をしている人で、チェリビダッケの弟子。

    このファチェーヴァのサックス、何とのびやかで、何となめらかな音楽でしょうか。あまりにも耳当たりが柔らかすぎて、もしかしたらもうちょっと音楽がこちらの方へせり出してきてもいいような気がしないでもないですが、いや、私にはこれくらいの距離感のあっさりした音楽がちょうどいい。空気中に漂うような爽やかな音が、ほんとにきれいです。特にカンタービレでの歌い口が、気品と、親しみやすさが共存していて、もしかするとこの音楽家はものすごく心優しくてあたたかい人なんじゃないかと感じる。しかもとっても若い人(1990年生まれ)ですから、このいい具合の力の脱けた音楽は、年齢の割に老成した心のありようを映したものなのか、この人の生来の性質によるものなのかは分かりませんが、生きることの哀しみとか儚さみたいなものも(直感で)ちゃんと知った人なんじゃないかと思いたくなるような翳りがあって、私にはとても馴染みやすい音楽でした。

    収められた音楽は、いずれも初めて聴くものばかりですが、やっぱりイベールの音楽が突出して心を打ちます。ただ表面的な洒脱だけでなく、心の琴線に触れる旋律、音と音の重なりがあり、心の奥底からの叫びのようなものも注意深くトーンを抑えつつも表現されていて、音楽が上滑りしていないように思えます。私にとってイベールというと、「寄港地」やディベルティメントくらいしか知らないという偏った聴き方の初心者ですが、この曲を知ることができただけでも、このCDを買った価値があろうかというもの。オケもなかなか美しい洗練された響きが印象的。いや、これはとても気に入った。

    次に印象的だったのは、ミシャの「シャムス」。誰が聴いてもそうと分かるアラビア的な音遣いが目立つ(Shamsはアラビア語で太陽の意味)作品で、ああ、このファチェーヴァはクリミアの人だったと思わずにいられない音楽。最近の私の嗜好からすると御馳走の音楽ですし、この何かと話題の地方の状況なども考えると、いろんな民族や地域の音楽がヨーロッパの音楽のメインストリームの中に融合されていくのは当たり前のことだし、良いことなんじゃないかと思います。エキゾチックで、ちょと官能的な音楽、これも聴く価値のある作品でした。

    その点、ピアノ伴奏の作品2つは耳当たりが良すぎて、さらっとBGM的に聴き流せるのが長所でもあり短所でもあるような気がしました。クラシックというよりポップスじゃないの?というくらいにカジュアルな響きをまとった音楽。だから悪いという訳じゃなくて、それならそれでもっと一瞬でいいから、一言でいいから、私の心にチクッと一刺しするようなものを与えてくれたらと思わずにいられない。それは恐らくですが、演奏者の責任ではなくて、作曲者に言わなくてはならないことのように思います。ここではファチェーヴァは曲の持ち味を存分に引き出していて、そのことがむしろ曲のある種の弱みを露わにしてしまっているような気がしないでもありません。いずれもサックス界では有名な曲だそうなので、他の人の演奏を聴くと印象が変わるのかもしれませんが。でも、そうは言っても、このしっとりとした耳当たりのソフトで上質な音楽が魅力的であることは間違いなくて、小難しいこと言わず、夜に静かに耳を傾けるにはうってつけの音楽であるとは思います。

    このファチェーヴァという人、一体どういう活動をしているのか、これからどんな活躍をするのかは未知数ですが、是非とも、何年か後に、「ほれみろ、私がこのブログでブレイクを予言してたんだぞ」と胸を張れるような人になってほしいものです。

    というか、この人、実演で聴いて、見てみたい。どんなに美しい人なんでしょうか。やっぱり美女は正義、美女は地球を救います。






    ■Fuminori Tanada, Mysterious Morning III by Asya Fateyeva (PAN Festival 11)

     

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