Langsamer Satz

クラシック音楽のことなどをのんびり、ゆっくりとお話したいと思います
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シュールホフ/ソナタ・エロティカ 聴き比べ 再び(閲覧注意)
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    ・シュールホフ/ソナタ・エロティカ
     Loes Luca(写真)


     ※おことわり
      本文はクラシック音楽に分類される曲を取り上げたものですが、
      性的な表現を含む動画と文章を若干含んでおります
      不快に思われる方は閲覧をご遠慮頂きますようお願いします



     
    ※おことわり
     本文はクラシック音楽に分類される曲を取り上げたものですが、
     性的な表現を含む動画と文章を若干含んでおります
     不快に思われる方は閲覧をご遠慮頂きますようお願いします  

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     6年ほど前、本ブログでエルウィン・シュールホフの「ソナタ・エロティカ」について書いたことがあります。タイトルの通り、100%エロでできあがった作品で、女性の「喘ぎ声」を音楽にしてしまった曲。ダダイズム全盛の時期の音楽なので、下品とか低俗と非難されるよりは、わずかな音源(CDは2種類ある)を頼りに、好事家がコソコソ、ニヤニヤしながらひっそりと楽しむべきものとしてアングラで扱われています。

     とは言え、前回ブログで書いた時に紹介しましたが、この音楽史上燦然と輝く名作(駄作)の演奏をライヴでおこない、動画をYouTubeに投稿するという強者が現れました。こんなものを多くの人の目に晒し、格調高いクラシック音楽への誤った視線を呼ばないかという危惧など覚えることもなく、ただただこの曲を演奏するのみならずパブリッシュするというパフォーマーの勇気に打たれ、ブログで紹介しました。

     あれから時は流れ、どうしたものか、彼女の後を襲って新たなパフォーマンスに挑戦し公表する人は現れず、あの衝撃的な動画も削除されてしまいました。仕方なく、隠れ「ソナタ・エロティカ」愛好者として、地下深くでひっそりと生息せざるを得ませんでした。

     ところが、です。

     最近、YouTubeで新しい動画を発見して私は狂喜乱舞しました。ああ、やっとこの曲に挑戦する人が出てきたのか!と。興奮を抑え切れないままに動画を再生しようとして、演奏者の名前を見てまた驚きました。そこで「歌って」いるのは、世界初録音となったChannelClassicsのCDで素晴らしい演奏を披露していたオランダの女優Loes Lucaその人ではないですか!!!!

     新しい人が現れたというより、満を持して大御所登場と言ったところでしょうか。まあ、そんなことはどうでもいい。

     これがその動画です。



     3つの楽章が楽譜で指定されているので、Lucaは楽章の切れ目でパウゼを置いて、「ちゃんと楽譜の通りに演奏してますよ」とアピールする。愛の行為が高まりを見せるにつれ、彼女は、あっと驚くような声色を聴かせ(CDではここまでドスの利いた声は聴かせていなかった)、ダダイズム色をしたエロを全開。しかし、その彼女のパフォーマンス姿があまりに自然で、恥ずかしげもなく、むしろベッド上での情事の再現を心から楽しんでいるかのようにさえ見えるので、客席からは、とてもあたたかくて自然な笑い声が聴こえています。10代の青少年ならともかく、こうした行為に多少とも身の覚えのある大人ならば、クスクスと健康的な笑いがこみ上げるのを抑え切れないのではないでしょうか。

     昨年の秋、大きな話題となった春画展を観に行った時のことを思い出しました。あそこに集まった老若男女は、一様にニコニコと愉しそうな顔をして春画を見ていたし、男女のカップル、女性同士のカップルがにこやかに性を語り合っていたのです。生憎その時の私はお一人様でしたからただのムッツリエロオヤジにしか見えなかったと思いますが、心の中は、あの愉し気な人たちと同じく、男女の交わりを描いた、しかも局部や粘液が異様にデフォルメされたいかがわしい絵(と文章)を、ほとんど笑いをこらえながら楽しんでいました。ああ、性というのはこんなにもオープンに描いてしまうと、ここまでエロ要素なしのほとんどコミックになってしまうのかと思いました。

     あるいは、以前、開高健が、性に関するあらゆるものがオープンな北欧のポルノショップでエロ本をみたら、無修正でアクロバティックな体位の男女の交合写真ばかり見せられるのでちっともそそられず閉口したと書いていましたが、春画は「絵」という形態、しかも浮世絵であるということで、ある種の「趣」を保っているのかもしれないなあとも思います。

     本題から脱線しましたが、とにかくこのLucaの演奏する「ソナタ・エロティカ」はあっけらかんと面白い。最後の放尿のシーンでさえも腹を抱えて笑ってしまう。それがシュールホフの意図だったのかどうか、もうそんなことはどうでもいい。これだけやられると拍手喝采を送るしかありません。

     ところで、前回のエントリーで紹介した後に削除されていたELENA REMEIJERS MOLOEKのパフォーマンスは、今はYouTubeで再び見ることができるようになりました。こちらはLucaの賑やかなパフォーマンスとは違い、ほとんどラブドール的な無表情かつニヒルな演奏であり、実はシュールホフのイメージしたものはこっちなんじゃないかという気もするくらいに、アングラで、淫靡で、エロい。



     私の場合、どっちが好きかと言われれば、その淫靡なMOLOEK版の方なのですが、しかし、この隠れた名作に誰もが楽しめる普遍的な音楽として向き合い、今回発見した動画で果敢なパフォーマンスを繰り広げたLucaには、世界初録音の功績とともに、「ソナタ・エロティカ」の第一人者という称号を個人的に授けたいと思います。まさかと思いますが、どこかが招聘して、彼女に「日本初演」をやってほしいとさえ真剣に思います。

     と同時に、これを例えば他のパフォーマーがやるとしたら誰がいいかなどと想像を巡らせてしまいます。しかも日本の女性で、AV女優さんではない人。

     ・・・あの方や、あの人、と具体的な人名を思い出したりしなくもないのですが、絶対無理だろうし、やったところで最高の名演が生まれるという保証はありません。特に第3楽章での「演技」はほとんどの人が拒絶するだろうと思います。ですから、やっぱりそこは玄人の方にお願いするしかないということになりますが、でも、それじゃあ新鮮味が・・。などと妄想しているのが一番楽しいのかもしれません。

     ナチスの手によってユダヤ人強制収容所のガス室で殺されたエルウィン・シュールホフの音楽、まあ、この「ソナタ・エロティカ」はほんの入口として、ごく一般的な意味でのクラシック音楽として素晴らしい内容をもった音楽への注目がもっと高まって、演奏機会が増えればいいなと思います。ピアノ曲にも面白いのがありますし、交響曲(一部はゲルト・アルブレヒトが読響で演奏したことがある)や、カンタータ「共産党宣言」なんてのもの実演で聴けたら嬉しいです。

     参考までに、YouTubeにあるもう一つの動画は、これはDiana Stoneとパフォーマーの記載がありますが、これは間違いなくLoes Lucaの世界初録音です。Supraphonから出ているStoneの演奏はBGMが入っていたりと大分趣が異なります。



     こちらが、楽譜に書かれたテキストです。
     

    .
    nicht, nicht doch, ah, Du!
    bitte, nicht doch, sei doch lieb!
    Du...ah...

    .
    ah..., Du...
    nicht so wild!
    ah, Du, ja, Du,

    tiefer schneller
    ah...ooh!

    .
    Was hast Du denn nun da gemacht?
    hast Du mich denn auch wirklich lieb,
    Du, sag doch!
    Du...
    Komm, lass uns wieder vernunftig sein!

    | nailsweet | クラシック音楽 雑記 | 15:22 | comments(0) | trackbacks(0) |
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