Langsamer Satz

クラシック音楽のことなどをのんびり、ゆっくりとお話したいと思います
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【ライヴ 感想】ポール・マッカートニー 東京ドーム公演初日(2017.04.27)
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    ・ポール・マッカートニー 東京ドーム公演初日

     ーワン・オン・ワン ジャパン・ツアー2017−

     (2017.04.27 東京ドーム)

     

     

     

     

     

     

    <<セットリスト>>

    01. A Hard Day’s Night
    02. Junior’s Farm
    03. Can’t Buy Me Love
    04. Letting Go
    05. Temporary Secretary
    06. Let Me Roll It
    07. I’ve Got a Feeling
    08. My Valentine
    09. 1985
    10. Maybe I’m Amazed
    11. We Can Work It Out
    12. In Spite of All the Danger
    13. You Won’t See Me
    14. Love Me Do
    15. And I Love Her
    16. Blackbird
    17. Here Today
    18. Queenie Eye
    19. New
    20. The Fool on the Hill
    21. Lady Madonna
    22. FourFiveSeconds
    23. Eleanor Rigby
    24. I Wanna Be Your Man
    25. Being for the Benefit of Mr. Kite!
    26. Something
    27. Ob-La-Di, Ob-La-Da
    28. Band on the Run
    29. Back In The U.S.S.R.
    30. Let It Be
    31. Live And Let Die
    32. Hey Jude
    encore
    33. Yesterday
    34. Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band (Reprise)
    35. Hi, Hi, Hi
    36. Birthday
    37. Golden Slumbers
    38. Carry That Weight
    39. The End

     

    ---

     

     ポール・マッカートニーの東京ドーム公演初日を聴いて来ました。

     

     私は、ビートルズの音楽は大好きなのですが、同じポールでも、ポール・サイモンのフリークなので、正直、ちょっとアウェーな感覚を残したままライヴに臨みました。何しろ、彼のビートルズ解散後の音楽は僅かしか知らないので、会場の熱狂から取り残されてしまうかもという危惧があったのです。
     でも、そんなのはまったくの杞憂でした。やっぱり初めて聴くソロ・ナンバーも結構ありましたが、「知らない」ことなんて大した問題じゃないと思えるくらい(勿論、知っているからこそ味わいが深くなるという側面はありますが)、彼のパフォーマンスを心の底から楽しみました。3時間近くにわたって、ほぼノンストップで。

     

     ポールの歌を聴いていて、彼は、「つかまえる」という行為の名人であり、天才なんだなと思いました。

     まず、ソングライターとしての彼は、ほんのちょっとした美しいメロディの着想を逃さずにつかまえ、ハーモニーの展開のアイディアの閃きを、まるで獲物を捕まえる豹のように一発で仕留め、それまで誰も聴いたことのないような新しい音楽に仕立て上げてしまう名人。
     パフォーマーとしての彼は、何万人もの聴衆がつくる得体の知れない巨大な空気の変化をつかまえ、同時に、自分の内側から湧き出てくる音楽的感興を見事につかまえ、それらが美しく融合する場所へと聴衆と一体になって進んでいく。そして、聴衆の一人一人の心をつかまえてしまう。

     その手際の見事さには、最高の意味での職人芸を感じずにはいられませんが、でも、まったく今さら言うまでもないことですが、その音楽には、何か発見の喜びとか驚きのようなものが満ち溢れていて、知っている曲かどうかに関わらず、まったく新鮮な感覚で聴くことができます。子供のような純粋無垢な曇りのない目を失うことなく、最高度のプロの音楽を生み出し続けることがどれほど難しいことかは容易に想像がつきますが、ポールはそんな困難なことを楽々とやってのけていました。

     ステージで、完全にリラックスして、自身も音楽をワクワクと楽しみながら、「ほら、こんなに面白いもの、美しいものを見つけたよ!」と、私たち聴衆と一緒に楽しもうと歌いかけ、語りかけてくる。そんな音楽を3時間近く浴び続けることの何と幸せなことでしょうか。「モットキキタイ?」という日本語でのMCにも大きくうなずき、このライヴがいつまでも「ジ・エンド」にならなければいいのにと願ってしまうほどでした。

     

     勿論、ビートルズのアルバムや、80年代くらいまでの彼のヒット曲で知っている彼の歌からすれば、声に多少の衰えは感じましたが、バック・バンドがべらぼうに巧いせいもあって、メロディアスで静かな曲から、激しいノリのロックンロールまで、そんな表面的なことはどうでもいいと思えるくらいに最高のパフォーマンスを堪能しました。

     

     彼のソロ・ナンバーの中で一番印象に残ったのは、彼が妻ナンシーのために書いた”My Valentine”でした。今日は会場に来てくれてるんだ、君のために歌うよ、と告げて歌ったその曲は、あっと驚くような、でも、「ああ、ポール!」と思わずにいられないような転調が素敵で、すっかり魅せられてしまいました。他には、”1985”のタイトなノリも肚にこたえましたし、“Band On The Run”の熱いコーラスにもジンと来ましたが、「死ぬのは奴らだ」の凄まじいボルテージ(花火?の爆音も凄かったですが)にも興奮しました。
     

     でも、やっぱりビートルズの曲をたっぷり聴けたのは、本当に幸せでした。月並みですが、特に「レット・イット・ビー」「ヘイ・ジュード」。これらをナマで聴けたことの感動を言葉で表すのはとても難しい。

     特に「ヘイ・ジュード」は、昨年の秋、コロムビアのメルマガで、カレル・フサの「プラハ1968年の音楽」を取り上げたとき、チェコ事件のさなかに発表された「ヘイ・ジュード」について触れたのですが、リフレインを大声で歌いながら、そこで書いた「連帯」という言葉を全身で感じました。音楽というのは人と人をつなげるものなのだ、「連帯」を生み出すものなのだと改めて実感しました。

     あとは、アンコール1曲目の「イエスタデイ」も沁みたし、「ジョンに捧げる」と告げて歌った”Here Today”のしみじみとした歌は聴けて良かった。あるいは、初めて録音した曲として紹介された"In Spite of All the Danger”、「ブラックバード」、「エリナー・リグビー」も良かった。

     でも、今日のライヴで一番印象に残ったのは、「ジョージに捧げる」とウクレレを弾きながら歌い始めた”Something”です。ひとしきりウクレレだけで歌った後、ギターソロ(ジョージの名ソロをほぼそのままなぞっていました)になってからバンドと合流して、スケール大きく歌うアレンジも見事で、私がこよなく愛する曲を聴けて、完全に決壊してしまいました。歌い終えて「素晴らしい曲を書いてくれて、ジョージ、ありがとう」と言っていましたが、本当に私もそう思います。

     それから、アンコールの最後、定番となっている「アビー・ロード」のラスト3曲のメドレーも忘れられない。この奇跡のような素晴らしい展開の音楽が、まさにいま生まれたような鮮やかな生命力をもって溢れ出るさまに、心を奪われないでいることは難しい。さっきも書きましたが、いつまでも終わってほしくないと願いながらも、でも、こんなにも響く音楽を聴けたことに心から感謝しながら、この刺激に満ちたライヴを満足しきった思いで聴き終えることができました。

     

     生きる伝説ポールは、「また逢いましょう!」と言い、両手を大きく振って舞台から去って行きました。きっと私だけでなく、会場を埋め尽くした多くのファンは、彼の言葉に大きくうなずいたに違いありません。また逢いたい!と。次回の来日公演も、是非、馳せ参じたいと思います。

     

     

     

     

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