Langsamer Satz

クラシック音楽のことなどをのんびり、ゆっくりとお話したいと思います
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Cello Fiesta ! 〜 クレメラータ・バルティカ
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    ・Cello Fiesta!
     マリー・エリザベス・ヘッカー(Vc)
     ギョルジ・ハラーゼ(Vc)
     クレメラータ・バルティカ (Profil)

     →詳細はコチラ(HMV/Amazon/Naxos)

    <<曲目>>
     ・ハイドン/チェロ協奏曲第1番ハ長調(ヘッカー)
     ・チャイコフスキー/カプリッチョ風小品Op.62(ハラーゼ)
     ・アザラシヴィリ/チェロと室内オケのための協奏曲(ハラーゼ)
     ・ヒナステラ/パウ・カザルスの主題による変奏曲Op.46(ハラーゼ)
     ・チック・コリア(プシュカレフ編)/ラ・フィエスタ(ヘッカー&ハラーゼ)


     ギドン・クレーメルが創設したクレメラータ・バルティカの創立10周年を記念する新盤を聴きました。内容はチェロと室内オケのための曲集で、ソリストはアンサンブルのメンバーのヘッカーと、ハラーゼの2人が分担しています。クレーメル自身は演奏には参加していないようなのですが、ライナーノートに「私がなぜ"Cello Fiesta"プロジェクトに夢中になっているか」という一文を寄せていることからも分かるように、彼がプロデューサー的役割を果たしたのは間違いありません。才能溢れるチェリスト2人を紹介するという目的もあるようです。

     私がこのディスクをわざわざ海外から取り寄せたのは、ここに収められているグルジアの作曲家ヴァージャ・アザラシヴィリ(1936-)のチェロ協奏曲をどうしても聴きたかったからです。

     アザラシヴィリというと以前このブログの「珠玉の小品」で、彼の無言歌を取り上げたことがあります。「無言歌」は、音楽的「甘党」を自認する私にはたまらない魅力を持った「甘い」音楽。深く愛しやまない曲なので、もしかしたらこのチェロ協奏曲でもそんな「猫にマタタビ」のような音楽が聴けるのではないか、そして、私の好きなクレーメルの率いる団体だから演奏も良かろう、という期待をこめて、オンラインショップの"BUY"ボタンをポチッとしました。

     予想より早くディスクが届き、まず何をしたかというと、このアザラシヴィリという人が、「無言歌」を書いた人と同一人物かどうかを確認しました。「無言歌」がおさめられたサンクト・ペテルブルク・チェロ・アンサンブルのCDの解説書とを見比べて、ファーストネームと生年が同じことを確認してまずは一安心。楽しみに聴き始めました。

     結果は、13分ほどの単一楽章の協奏曲で、聴きやすい現代音楽という印象。チェロが冒頭でチェロが「グルジア」を感じさせる妖しい雰囲気の半音階的な旋律を静かにモノローグ調で弾き始め、ヴァイオリンがそれを引き継いでトゥッティで熱く歌い上げるさまはあの「無言歌」の作曲家らしい「甘さ」は感じさせます。やがてチェロのつぶやきと弦楽の不気味な不協和音が絡みながら、突然、「ハルサイ」やショスタコの弦楽四重奏曲第8番の第2楽章を思わせるような激しいたたきつけるようなリズムの音楽が繰り広げられます。一しきりチェロとオケが暴れて冒頭の旋律が拡大されて歌われた後、だんだん静かになってだんだんつぶやきが消えていきます。最後にしめやかに歌われる諦めに満ちた旋律は哀愁に満ちた美しい音楽で心に響きます。全体を通して、不協和音や変拍子は随所に出てきますが、いわゆる「ゲンダイオンガク」ではなく、とても耳になじみやすい音楽で結構気に入りました。若いハラーゼのチェロも歌うべきところはのびのびと歌い、難しそうなパッセージでもとてもしっかりした技巧で曲に斬り込んでいくさまが心地よいです。

     さて、アザラシヴィリの音楽に続いては、私が最近興味を持っているアルゼンチンの作曲家アルベルト・ヒナステラの書いた「カザルスの主題による変奏曲」という珍しい作品。ロストロポーヴィッチがヒナステラに委嘱した作品なのだそうです。冒頭、どっかで聴いたことあるなあというような甘くて美しメロディが聴こえたと思ったら、音楽は一変して不思議なテイストのある「ゲンダイオンガク」になります。しかし、しかつめらしい晦渋な音楽などではなく、音がピチピチと弾けるような愉しさに溢れた音楽が繰り広げられていきます。そして、第4曲「歌」では、カザルスが愛奏したカタロニア民謡「鳥の歌」がチェロ独奏によってほぼそのままの形で弾かれます。ここはハラーゼのチェロの美しい音色も手伝ってとても印象に残ります。面白い曲だし、若者たちの意欲に満ち溢れた演奏も素晴らしいもの。コントラバスのソロの超絶技巧など聴きどころ満載です。

     アルバムの最後は、チェロ2台によるチック・コリアの「ラ・フィエスタ」。ビゼーの
    「カルメン」のアラゴネーズのモチーフを絡めながら楽しげなアンサンブルを聴かせてくれます。ハイドン→チャイコ→アザラシヴィリ→ヒナステラという超ごった煮アルバムの最後を締めるに相応しい曲かと思います。

     このアルバムには、他にヘッカーの弾くハイドンのチェロ協奏曲第1番、ハラーゼの弾くチャイコフスキーの「小奇想曲」が収録されています。これらはチェロ弾きにとっては日常的なレパートリーで、他の珍しい収録作品と好対照をなしています。

     ヘッカーの弾くハイドンは、アーティキュレーションが明確で透明な音色のオケが美しいし、チェロものびやかでオケとのアンサンブルを楽しむような素敵な演奏で聴かせてくれて楽しませてもらいましたが、「内輪の音楽」という趣が長所でもあり短所でもあり、というのが正直な感想です。

     一方、ハラーゼのチャイコは、ぐっと音楽が前に出てくるような強い自己主張があって、耳をそばだてさせられます。技巧的な難所も難なくクリアし、しかも美しい歌で耳を酔わせてくれるあたり、この人は只者ではないなという気がします。ジョルジ・ハラーゼという1984年グルジアのトビリシに生まれたこの若者の名前、チェックしておいた方が良いかもしれません。

     このアルバムを聴いて、クレーメルの秘蔵っ子たちは本当にのびのびと楽しそうに音楽をやっているなと思いました。アザラシヴィリの音楽を聴けたというだけでなく、本当に楽しい音楽が聴けて満足しました。

     因みに、HMVのサイトを見ると、このアルバムは10月31日に日本のショップにも入荷するそうです。また、アマゾンでは既に入手可能になっています。(私は米アマゾンで購入)
    | nailsweet | クラシック音楽 ディスク | 00:31 | comments(0) | trackbacks(0) |
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