HMV渋谷店閉店に思う
2010.06.08 Tuesday
HMV渋谷店が8月に閉店するという情報は既にTwitterでも流れていましたが、今日、そのニュースがメディアでも結構大きく取り上げられ、ガセネタではなかったことが分かりました。
あの店がHMVの国内第1号店としてオープンしたのは1990年11月のことで、当時のことは私もよく覚えています。その頃は、輸入盤というと、六本木WAVE(既に閉店)か、渋谷の東急ハンズの向かいにあったフリスコ(既に閉店)、あるいは秋葉原の石丸電気(大幅に売場縮小)に買いに行っていましたが、コンサートやオケの練習でよく通っていた渋谷に大きなCDショップができたのが嬉しく、事あるごとに通いました。
でも、正直言うと、このところはHMV渋谷には足が向きませんでした。ここ何年かでどんどんクラシック売場が縮小され、一番最近のリニューアルでは「一体どうしちゃったの?」と言いたくなるような淋しいスペースになってしまったからです。とにかく売れ筋のディスクしか置いていないのが、パッと店内を一瞥しただけで分かってしまうのです。(私がよく行っていた横浜Vivre店や神戸の三宮店も同じ。)
ああ、これじゃあもう行く気がしないなあと思っていたところで聞いた閉店のニュースですから、実を言うと、淋しい気持ちこそすれ、そりゃそうだろうなあと納得する気持ちの方が強いくらいです。それに比べると、HMVの方々には申し訳ないですが、タワーレコードの方が、店に入った時に「ワクワク」するのです。タワーでは、在庫のディスクのほとんどが「顔なじみ」のディスクであっても、時折、見たこともない面白そうなものがこっそり入荷していたりするからです。
その代わり、HMVは何と言っても、オンラインショップとしての強みを感じます。品揃えもいいし、何と言ってもマルチバイは購買意欲をそそります。それにHPも、情報の早さやアンテナの高さは、個人経営のネットショップには多少劣るものの、でも、何と言ってもデザインが良くて見やすいし、検索もしやすくて快適です。ですから、経営的な視点から効率を重視し、土地代が高く、しかも、株主のお膝元のビルのすぐそばに建っている渋谷店をたたむのは、非常に理に適った選択であると思います。こればっかりは、資本主義に立脚する社会である以上、仕方のないことです。何と言っても、HMV渋谷閉店によって私のディスク購入にはほとんど影響はないのですし。
と言いつつも、私の青春の一コマがこれでなくなってしまうのだなあという感慨はあります。バーンスタインが亡くなった後にリリースされたディスクのほとんどはここで買いましたし、初めてもらったボーナスでバーンスタインのマーラー全集のレーザーディスクを買い、ずしりと重い袋を手に浮き浮きして帰ったことも忘れられません。それに、一時期出回ったExclusiveやMeteorのチェリビダッケのCDを買い込んでいた頃、ちょうど来日したグルダのインタビューの発言をきっかけに一斉に店頭から消えたことも覚えています。そして、今のビルに移転した時(2002年だったでしょうか)、空前絶後のスケールのバーゲンがあり、それはそれはレアなマイナーレーベルのディスクが100円とか500円で大量に投げ売りされていて、狂喜乱舞して通ったのも懐かしい思い出です。
感傷に耽っていても仕方がありません。HMVには、信頼のおけるオンラインショップとして良質のディスクを供給してほしいです。
そして、まだ店舗での新品ディスクの販売を継続しているお店(私にとってはもうタワーレコードしかありませんが)には、いろいろと大変でしょうけれど、店に入ってワクワクするようなショップを続けてほしいです。私がまだ「パラダイムシフト」できていないだけなのかもしれませんが、CDショップで現品を購入するという「楽しみ」はなくならないで欲しいからです。
「通」ぶるつもりはまったくないのですが、「のだめ」や辻井伸行のCDようなベストセラー盤が欠品しないことも大切ですが、我々ユーザーの新たな好奇心を呼び起こし、思わず衝動買いをしてさせてしまうような「仕掛け」も実は大事なんじゃないでしょうか。マーケティングの理論からすると間違いなのかもしれませんけれど。
ということで、今日は、私がHMV渋谷で確か最初に買った、ポール・サイモンの「リズム・オブ・セインツ」を聴きながら眠ることにします。
・The Rhythm Of The Saints
Paul Simon(Warner)
あの店がHMVの国内第1号店としてオープンしたのは1990年11月のことで、当時のことは私もよく覚えています。その頃は、輸入盤というと、六本木WAVE(既に閉店)か、渋谷の東急ハンズの向かいにあったフリスコ(既に閉店)、あるいは秋葉原の石丸電気(大幅に売場縮小)に買いに行っていましたが、コンサートやオケの練習でよく通っていた渋谷に大きなCDショップができたのが嬉しく、事あるごとに通いました。
でも、正直言うと、このところはHMV渋谷には足が向きませんでした。ここ何年かでどんどんクラシック売場が縮小され、一番最近のリニューアルでは「一体どうしちゃったの?」と言いたくなるような淋しいスペースになってしまったからです。とにかく売れ筋のディスクしか置いていないのが、パッと店内を一瞥しただけで分かってしまうのです。(私がよく行っていた横浜Vivre店や神戸の三宮店も同じ。)
ああ、これじゃあもう行く気がしないなあと思っていたところで聞いた閉店のニュースですから、実を言うと、淋しい気持ちこそすれ、そりゃそうだろうなあと納得する気持ちの方が強いくらいです。それに比べると、HMVの方々には申し訳ないですが、タワーレコードの方が、店に入った時に「ワクワク」するのです。タワーでは、在庫のディスクのほとんどが「顔なじみ」のディスクであっても、時折、見たこともない面白そうなものがこっそり入荷していたりするからです。
その代わり、HMVは何と言っても、オンラインショップとしての強みを感じます。品揃えもいいし、何と言ってもマルチバイは購買意欲をそそります。それにHPも、情報の早さやアンテナの高さは、個人経営のネットショップには多少劣るものの、でも、何と言ってもデザインが良くて見やすいし、検索もしやすくて快適です。ですから、経営的な視点から効率を重視し、土地代が高く、しかも、株主のお膝元のビルのすぐそばに建っている渋谷店をたたむのは、非常に理に適った選択であると思います。こればっかりは、資本主義に立脚する社会である以上、仕方のないことです。何と言っても、HMV渋谷閉店によって私のディスク購入にはほとんど影響はないのですし。
と言いつつも、私の青春の一コマがこれでなくなってしまうのだなあという感慨はあります。バーンスタインが亡くなった後にリリースされたディスクのほとんどはここで買いましたし、初めてもらったボーナスでバーンスタインのマーラー全集のレーザーディスクを買い、ずしりと重い袋を手に浮き浮きして帰ったことも忘れられません。それに、一時期出回ったExclusiveやMeteorのチェリビダッケのCDを買い込んでいた頃、ちょうど来日したグルダのインタビューの発言をきっかけに一斉に店頭から消えたことも覚えています。そして、今のビルに移転した時(2002年だったでしょうか)、空前絶後のスケールのバーゲンがあり、それはそれはレアなマイナーレーベルのディスクが100円とか500円で大量に投げ売りされていて、狂喜乱舞して通ったのも懐かしい思い出です。
感傷に耽っていても仕方がありません。HMVには、信頼のおけるオンラインショップとして良質のディスクを供給してほしいです。
そして、まだ店舗での新品ディスクの販売を継続しているお店(私にとってはもうタワーレコードしかありませんが)には、いろいろと大変でしょうけれど、店に入ってワクワクするようなショップを続けてほしいです。私がまだ「パラダイムシフト」できていないだけなのかもしれませんが、CDショップで現品を購入するという「楽しみ」はなくならないで欲しいからです。
「通」ぶるつもりはまったくないのですが、「のだめ」や辻井伸行のCDようなベストセラー盤が欠品しないことも大切ですが、我々ユーザーの新たな好奇心を呼び起こし、思わず衝動買いをしてさせてしまうような「仕掛け」も実は大事なんじゃないでしょうか。マーケティングの理論からすると間違いなのかもしれませんけれど。
ということで、今日は、私がHMV渋谷で確か最初に買った、ポール・サイモンの「リズム・オブ・セインツ」を聴きながら眠ることにします。
・The Rhythm Of The Saints
Paul Simon(Warner)
時々寄らせていただいて、記事楽しく読ましてもらってます。
私もタワーレコード派なんですが、CDショップがなくなるのは寂しいかぎり。HMVはガード下の銀座店も松屋だか松坂屋に変わると新聞でみたばかりです。今HMVのサイトで見たら6月20日で閉店とのことです。
ネットショップやiTunesが流行ったり、オーディオの世界でもPCオーディオがだいぶ幅を利かせてきているなか、バッケージメディアとしてのCDにはまだまだ頑張ってもらいたいところです。
最近は以前にくらべ値段もだいぶ落ちて買う方からするといい時代になったとつくづく思いますが、売上げの下がる勢いは止まらないのでしょうか、、、