トゥルーデリーズ・レオンハルトさんの動画

2010.06.14 Monday

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    ・シューベルト/アレグレットハ短調D.915
    ・ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第7番第2楽章
     トゥルーデリーズ・レオンハルト(Fp)




     私の大好きなフォルテピアノ奏者、トゥルーデリーズ・レオンハルトさん。今頃はもう4月に録音したはずのモーツァルトの作品集の編集をなさっているところでしょうか。彼女のディスクをリリースしているGLOBEレーベルが、最近は新譜が激減していて発売してもらえるか一抹の不安はありますが、でも楽しみにリリースを待っています。

     さて、そのレオンハルトさんですが、以前、このブログで取り上げたように、ご自身のHPとYouTubeにシューベルトの「楽興の時」第3番の映像がUpされていました。それは私にとって、彼女の演奏姿と彼女が愛用する名器ザイドナーを見た初めての機会でしたから、見つけた時は声が出てしまうほどにとても嬉しかった。

     その後、彼女の動画が増えないものかと思っていたところ、YouTubeに2つ新しい映像が追加されているのに気がつきました。

     まず一つ目はシューベルトのアレグレットハ短調D.915です。



     この曲、彼女は既に2回録音していて、1回目と2回目でまったくテンポが違い、根本的なコンセプトも異なる演奏をしていました。今回の映像は、当然2回目の演奏に近いスタイルで演奏されていますが、早目のテンポであっさりとした流れを基調としながら、折に触れて微妙な「揺らぎ」を取り入れて、作曲者のほんの小さな心の揺れ動きも克明に描き出していて、とても心を打たれます。

     実を言うと、この曲を偏愛する私は、最近、楽譜をパブリックドメインからダウンロードして自宅のピアノで練習しているところでした。そんな立場から視聴した彼女の演奏姿は、まさにプロとアマの違いを強烈に意識せざるを得ないものでした。ああ、何と柔らかく、何とシンプルなスタンスで音楽と楽器に向かい合っているのかと。私がただ音にするだけでも格闘するようなフレーズでも、あるいは何の意識もせずにさらさらと流してしまうような個所でも、レオンハルトさんはまったく優雅に、落ち着いた気品のある立ち姿でシューベルトを弾いている。しかも、つんとすました「上から目線」の音楽なのではなく、その音楽への愛情と親愛の情をめいっぱいこめたあたたかい演奏でもあります。これはパッと見は簡単そうに見えて、実際にやってみるのはとても難しいことなのだろうと思います。そんなレオンハルトさんの「隠れた凄さ」を実感できるとても素晴らしい動画だと思います。

     そしてもう一つは、最近彼女が録音したベートーヴェンのピアノ・ソナタ第7番の第2楽章の動画です。




     こちらは10分近くにわたって彼女の妙技を愉しめますが、ここでは、より悲痛な感情表現と、より立体的・構築的な音楽への志向を孕んだベートーヴェンの音楽を聴く愉しみを大切にした音楽が魅力的です。時折胸に刺さるような不協和音がかき鳴らされるあたりの痛みの表現も素晴らしい。

     ともあれ、彼女の「現在」をこうして映像で確か良い刺激を与えてもらって、とても嬉しい限りです。そうなるとますます要求が高くなって、彼女のナマを聴いてみたくなります。ああ、どなたか、この人を日本に連れてきてくれないものでしょうか。

     最後に、紹介済みの「楽興の時」の動画も再掲しておきます。



     これらの映像、いつか商品化されて、フルスペックの高品位の映像と音で楽しめるようにしてほしいです。

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    2018.05.25 Friday

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