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私のシューベルティアーデ(6) 〜 ツァハリアスのソナタ集

ピアノ・ソナタ選集(第4,7,9,13,14,16〜21番)
クリスティアン・ツァハリアス(p)

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 クリスティアン・ツァハリアスはドイツ出身のピアニストで、日本ではあまり人気がないようですが、EMIやMD+Gから多くのディスクが出ている名手です。特にモーツァルトのソナタや協奏曲のディスクが有名です。

 私は、EMIから出ているべートーヴェンのピアノ協奏曲全集(w/フォンク指揮ドレスデン・シュターツカペレ)を聴いて彼の演奏に興味をもったのですが、そこでは特に第1、2、4番の非常に粒立ちの揃った美しいタッチと端整な音楽の運びが印象的で、まさに「モーツァルト弾き」の面目躍如と感じました。

 私は、そんな彼の美しいタッチでシューベルトを聴けばきっといいだろうなあと思い、廉価で売られていたEMIの5枚セットを入手してみました。このセットでは完成された11曲のソナタのみが取り上げられており、15番「レリーク」も含まれていません。

 彼の演奏ですが、期待した通り、モーツァルト晩年の作品のもつ澄み切った秋の青空のような透明さを、そのままシューベルトの音楽の奥底にある「哀しみ」に重ね合わせたような何とも美しい演奏の数々に出会い大変印象に残りました。勿論、シューベルトの音楽にある哀しみとモーツァルトの音楽のそれとは決して同じであるはずがないのですが、ツァハリアスの演奏を聴いていると、両者の音楽を結ぶ補助線のようなものがはっきり見えてくる気がするのが不思議でした。
 
 ツァハリアスの演奏の美しさの際立つ場面はたくさんあります。例えば、第18番「幻想」の第1楽章の高音の優しい響きからは煌めきながらたくさんの星が降ってくる情景を思い浮かべましたし、特に後期のソナタの緩徐楽章での静謐なたたずまいは、まさにモーツァルトのピアノ協奏曲第27番の第2楽章を想起させるようです。

 ただ、第13番以前の初期作品の中には、玉を転がすような美音に耳を洗われる反面、あまりにも音楽がサラサラときれいに流れていくのに違和感があり、もっとシューベルトの内的なロマンティシズムの世界をじっくり見たいと不満に思った曲もあります。また、繊細で透明な響きを追求するあまり音の運びが多少神経質になり、時として「歌」が響きの背後に隠れてしまう箇所もあるのも気になり、彼の美質が両刃の剣となってしまっているように思えたのが残念です。

 ツァハリアスは、最近、第20番のソナタをドイツのMD+Gに再録音しました。

・ピアノ・ソナタ第20番イ長調 D.959
・6つのドイツ舞曲 D.820
・4つのレントラー D.814
・ドイツ舞曲 D.841-1
・ワルツ D.844
クリスティアン・ツァハリアス(p)

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 その演奏は、以前の彼らしい美質を保ちながらも、前述のような不満を感じさせない非常にスケールの大きな立派な演奏で素晴らしいものでした。今回取り上げたEMIのセットも十分に価値のあるもだと確信しますが、より成熟した音楽家へと深化した彼の再録音を期待したいというのが正直なところです。

 その彼は今年の「ラ・フォル・ジュルネ」にはその得意の20番を引っさげて来日し、指揮者としても手兵のローザンヌ室内管と共に交響曲も演奏するそうです。もしかしたら、日本でツァハリアスの人気が急上昇するかもしれません。

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  • 2017.06.25 Sunday
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