珠玉の小品 その12 〜 カスキ/前奏曲(管弦楽版)
2007.10.31 Wednesday
カスキ/前奏曲Op.7(管弦楽編曲版)
レイフ・セーゲルスタム指揮ヘルシンキ・フィル
試聴はコチラで
ヘイノ・カスキ(1885-1957)は、シベリウスと同じ日に亡くなったフィンランドの作曲家。
つい先日(9/20)没後50年の命日を迎えた訳ですが、ピアノ曲以外はほとんど知られていないせいか、当ブログにコメントを頂いたこともあるsuomestaさんの「スオミ・フィンランドの音楽&文化」で、舘野泉氏の弾くピアノ作品集のCDが取り上げられたくらいかもしれません。ただ、彼のピアノ曲には結構人気はあるようで、楽譜が容易に入手できるようですし、舘野氏のCDは現役で発売されていて、ミクシィにもコミュがあったりもします。
さて、この前奏曲も、もともとはピアノのために書かれた曲ですが、セーゲルスタムの/ヘルシンキ・フィルの"Scandinavian Rhapsody"というアルバムには、管弦楽に編曲されたバージョンが収められていて、私はこれを非常に愛聴しています。
この曲の魅力は、とにかく旋律が美しいの一言に尽きるでしょうか。
冒頭から、うつむき加減の、でも、情熱を帯びた「憧れ」のような旋律があふれ出てきて、作曲者の心のうちを打ち明けられたような、そんな想いにかられます。聴いていると、心なしか体温が上昇するのを感じますが、やがて、高まった思いを静かに回想して思いに耽るような佇まいになり、最後は柔らかく曲が閉じられます。原曲のピアノ版のライナーノートには、この曲に対し「宗教的雰囲気のある曲」という評がありますが、確かに、その沈潜には「祈り」の雰囲気を感じます。
私のお気に入りの指揮者セーゲルスタムは、この曲でも、たっぷりオケを鳴らして熱っぽいロマンを歌い上げています。フィンランドの曲にしては「地球温暖化」を思わせる解釈ですが私は大好きです。(彼の師であるパヌラ指揮のナクソス盤はあっさりしていてこちらが本筋かも・・・)
このオケ版、日本で演奏されたことはあるのでしょうか?アンコールか何かでやったら、いい感じで演奏会を締められそうな気がします。もっとも、曲の題名は「前奏曲」ですけれど・・・。