R.シュトラウス/歌曲集 〜 ポップ(S)/サヴァリッシュ(P)
2008.10.31 Friday
・R.シュトラウス/歌曲集
ルチア・ポップ(S)/ヴォルフガング・サヴァリッシュ(P) (EMI)
→詳細はコチラ(HMV/Tower/Amazon)
EMIミュージックジャパンからシリーズで順次発売されている「BEST100」は、それこそ名曲名盤の類が「焼き直し」で大量に再発売されているだけのように思っていましたが、よくよくラインナップを見ると、こっそりと長らく廃盤だったレアな音源が復刻されたりしていて侮れません。
その中でも私が復刻を心待ちにしていたのが、このルチア・ポップのR.シュトラウスの歌曲集です。以前、シュトラウスの「子守歌」にハマってCDを集めていたところ、大好きなポップのこの歌曲集のCDは廃盤になっていて入手できませんでした。それでも「子守歌」だけはポップのオムニバス盤に収録されているのを聴いて溜飲は下げたものの、やはりオリジナルのCDを聴きたくなるのが人情というもの。アマゾンのマーケットプライスに出品されても1万円などの高値がついていたので、再発売されないかとずっと待っていました。
このCDは、1984年の録音ということですから、スザンナやゾフィーといったスーブレット役から、伯爵夫人やマルシャリンのようなドラマティックな役へとシフトしつつあった頃の録音。しかも伴奏がR.シュトラウスを得意とする名指揮者ヴォルフガング・サヴァリッシュ。やっと「幻の名盤」を手にして、楽しみにして聴きました。
既に聴いていた「子守歌」の優しさと清潔な官能に満ちた歌は、そのまま全曲21曲でも同じように繰り広げられています。私はとても嬉しくなりました。ベームが最後に来た時の「フィガロ」でのあの可憐なスザンナの姿よりは、もっと大人の成熟した女性を感じさせますが、その落ち着いた気品溢れる歌には胸を打たれずにいられません。まさに「名花」と呼ばずにはいられません。フォルテでも決して絶叫にならず豊かな響きを聴かせ、弱音では耳をくすぐるような官能に身をよじりたくなってしまいます。素晴らしい歌です。
有名な「献呈」や「万霊節」も美しいですが、「子守歌」と同じくデーメルの詩につけた「ひそかな歌」など心にそくそくと迫ってくる歌で感動的です。また、最後の2曲は「子供の不思議な角笛」につけた曲で、マーラーの歌曲の雰囲気との違いを楽しむことができて興味深いです。
サヴァリッシュの伴奏も素晴らしいです。本当にプロのピアニストも裸足で逃げ出してしまいそうなくらいに技術的にも優れているだけでなく、音楽の輪郭をきっちり描き出しながら、細かなニュアンスにも心を配ってポップの歌をしっかり支えているあたり、まったく文句のつけようもありません。
いい音楽を聴いたなあと心から思えるディスクでした。こういうアルバムがきちんと復刻されたことを喜びたいし感謝したいと思います。
そういえば、最近突然リリースされたカルロス・クライバーの'73年の「ばらの騎士」では、まだ若かった頃のポップのゾフィーを聴くことができます。そちらはまだ全部は聴いていないのですが、改めてルチア・ポップの歌手としての成熟の軌跡をたどり、誰からも愛された素晴らしいディーヴァを偲びたいと思っています。
ルチア・ポップ(S)/ヴォルフガング・サヴァリッシュ(P) (EMI)
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EMIミュージックジャパンからシリーズで順次発売されている「BEST100」は、それこそ名曲名盤の類が「焼き直し」で大量に再発売されているだけのように思っていましたが、よくよくラインナップを見ると、こっそりと長らく廃盤だったレアな音源が復刻されたりしていて侮れません。
その中でも私が復刻を心待ちにしていたのが、このルチア・ポップのR.シュトラウスの歌曲集です。以前、シュトラウスの「子守歌」にハマってCDを集めていたところ、大好きなポップのこの歌曲集のCDは廃盤になっていて入手できませんでした。それでも「子守歌」だけはポップのオムニバス盤に収録されているのを聴いて溜飲は下げたものの、やはりオリジナルのCDを聴きたくなるのが人情というもの。アマゾンのマーケットプライスに出品されても1万円などの高値がついていたので、再発売されないかとずっと待っていました。
このCDは、1984年の録音ということですから、スザンナやゾフィーといったスーブレット役から、伯爵夫人やマルシャリンのようなドラマティックな役へとシフトしつつあった頃の録音。しかも伴奏がR.シュトラウスを得意とする名指揮者ヴォルフガング・サヴァリッシュ。やっと「幻の名盤」を手にして、楽しみにして聴きました。
既に聴いていた「子守歌」の優しさと清潔な官能に満ちた歌は、そのまま全曲21曲でも同じように繰り広げられています。私はとても嬉しくなりました。ベームが最後に来た時の「フィガロ」でのあの可憐なスザンナの姿よりは、もっと大人の成熟した女性を感じさせますが、その落ち着いた気品溢れる歌には胸を打たれずにいられません。まさに「名花」と呼ばずにはいられません。フォルテでも決して絶叫にならず豊かな響きを聴かせ、弱音では耳をくすぐるような官能に身をよじりたくなってしまいます。素晴らしい歌です。
有名な「献呈」や「万霊節」も美しいですが、「子守歌」と同じくデーメルの詩につけた「ひそかな歌」など心にそくそくと迫ってくる歌で感動的です。また、最後の2曲は「子供の不思議な角笛」につけた曲で、マーラーの歌曲の雰囲気との違いを楽しむことができて興味深いです。
サヴァリッシュの伴奏も素晴らしいです。本当にプロのピアニストも裸足で逃げ出してしまいそうなくらいに技術的にも優れているだけでなく、音楽の輪郭をきっちり描き出しながら、細かなニュアンスにも心を配ってポップの歌をしっかり支えているあたり、まったく文句のつけようもありません。
いい音楽を聴いたなあと心から思えるディスクでした。こういうアルバムがきちんと復刻されたことを喜びたいし感謝したいと思います。
そういえば、最近突然リリースされたカルロス・クライバーの'73年の「ばらの騎士」では、まだ若かった頃のポップのゾフィーを聴くことができます。そちらはまだ全部は聴いていないのですが、改めてルチア・ポップの歌手としての成熟の軌跡をたどり、誰からも愛された素晴らしいディーヴァを偲びたいと思っています。